**米国は、米国の中で新しく作られた物やサービスの価値をまとめた数字です。**景気の大きな流れを知る助けになります。ただし、値段が上がった分を含むか、どの期間と比べるかで見え方は変わります。ここでは「量」と「値段」を分けるところから始めます。
GDPは国全体の活動をまとめる
GDPは国内総生産という言葉の略です。国内で一定期間に生まれた、最終的な物やサービスの価値を数えます。自動車やパンだけでなく、散髪や運送など、形のないサービスも含まれます。
パンを作る小麦の代金と、完成したパンの代金をそのまま全部足すと、途中の材料を重ねて数えてしまいます。そこで、最終的な品物の価値などから重複しないようにまとめます。個人の年収や、国が持つ財産の合計とは別です。
パンが値上がりしただけでも、金額は増える
小さな架空の国で、パンだけを作ると考えます。去年は1個100円のパンを100個作り、合計1万円。今年も100個ですが、1個110円になれば合計1万1千円です。金額は10%増えましたが、パンの数は増えていません。
その時々の値段で数えたものを「名目GDP」といいます。値上がりや値下がりの影響を取り除き、作る量の変化を見やすくしたものが「」です。実際の経済は多数の品物から成るため、パンの例より計算は複雑です。
図1:架空のパンの国。個数が同じでも、値段が上がると名目の金額は増えます。
次に、値段が100円のままで110個作った場合を考えましょう。同じ1万1千円でも、こちらは作る量が増えています。「金額が増えた」という結果だけでは、値上げなのか生産の増加なのか見分けられません。
米国ニュースの「年率」は1年の実績?
米国GDPのニュースでよく見るのは、季節による偏りをならした実質GDPの「前期比年率」です。前期は直前の3か月、つまり四半期を指します。その3か月の伸び方が1年間続いたら、どの程度になるかに換算しています。
架空の実質GDPが前の四半期100、今の四半期101なら、前期比は1%です。この伸びが4回続く計算は100→101→102.01→103.03→104.06となり、年率は約4.06%です。単純に1%を4倍した値と少し違います。
図2:架空の前期比1%を年率へ換算。同じ伸びが続くという計算で、未来の予報ではありません。
一方、「前年比」は去年の同じ四半期との比較です。「年率4%」を「この1年で4%増えた」と読み替えないようにしましょう。別の国のGDPと比べるときも、名目・実質や比較期間をそろえることが必要です。
中身を開くと、伸びた理由が見える
GDPは、家計の消費、企業の設備への投資、政府の支出、輸出と輸入の関係などから読むことができます。同じ伸びでも、家計がたくさん買った場合と、売れ残りの商品が増えた場合では、その後の見通しは違うかもしれません。
輸入を差し引くのは、国内で作られた分を数えるためです。輸入が増えたら、それだけで景気が悪いという意味にはなりません。先に消費などへ含まれた海外生産分を調整している点を押さえます。
実際のケース:2024年1〜3月の第3推計
BEAは2024年6月27日、2024年1〜3月の実質GDPについて、前期比年率1.4%増と公表しました。これは第3推計で、その前の第2推計の1.3%増から更新された値です。同じ発表の名目GDPは前期比年率4.5%増でした。
この二つは、実質と名目を分けて読む実例です。物価の影響を含むかどうかが異なるため、1.4%と4.5%を同じものとして比べてはいけません。また、この数字は2024年6月27日時点の公表値で、その後のを反映した現在の系列とは区別します。
BEAは、速報に続いて第2・第3推計を出し、より多くの資料を取り込むと説明しています。同じ対象期間でも、公表の段階が変わります。過去のニュースを調べるときは、記事の日付だけでなく、何回目の推計かも残しましょう。
GDPだけで売買の向きは決まらない
生産の伸びが大きければ会社の売上を支えることがあります。一方で、物価や金利への心配も変わります。価格には発表前の期待が含まれることもあるので、「GDPが高いなら必ずドル高・株高」とは言えません。
前回と今回の差を見る前に、実際のが確認できるかを調べます。予想の集計元が分からなければ、驚きの大きさは判断を保留します。初めての練習では、予想を当てることより、数字の種類を正しく読むことが役立ちます。
国の成長率と、自分のもうけは別
GDPが2%増えても、すべての会社の売上が2%増えるわけではありません。作る物や売る場所、費用の増え方は会社ごとに違います。まして、株価や自分の資産が同じ割合で増えるという意味ではありません。
国の活動を大きな地図、個々の会社をその中の店と考えましょう。地図で人通りの多い地域が分かっても、ある店の売上や家賃までは分かりません。GDPを読んだあとに会社を調べるなら、その会社の決算など別の資料が必要です。
四半期の数字は、対象の3か月が終わってから出ます。今日の景気を直接のぞく窓ではないことにも注意します。「何月から何月までの活動か」を一度声に出すと、今起きているニュースと混ぜにくくなります。
まとめ:GDPには、期間と値段の名札を付ける
GDPは国内の生産をまとめた数字です。名目はその時の値段、実質は物価の影響を取り除いた見方です。米国でよく使う前期比年率は、去年との比較でも将来の約束でもありません。速報と改定後の値も分けて記録しましょう。
次は、公式発表の見出しを読み比べよう
BEAの発表を一つ開き、対象期間、実質か名目か、前期比年率か前年比か、公表段階の四つを探してください。口座がある人は同じ日の値動きを観察し、数字だけでは説明できない点も書きます。
口座を選ぶ段階なら、口座の比較でニュースと長めのチャートを確認しやすいかを見比べましょう。統計を理解しても損失は避けられません。FXでは預けたお金を超える損失もあるため、初めは売買せずに読む練習から進めてください。

