**米国は、消費者が買う物やサービスの値段が、全体としてどう変わったかを見る数字です。**上昇率が下がっても、値段そのものが下がったとは限りません。この記事では、買い物の計算を使い、総合とコア、前月比と前年比の違いを読み分けます。

買い物かごの値段を、まとめて見る

CPIは消費者物価指数の略です。食べ物、住まい、交通、医療など、多くの価格を調べます。品物を一つずつ同じ重みで平均するのではなく、家計の支出で占める大きさなどを反映してまとめます。

ある人が毎日買う牛乳だけを見ても、米国全体の物価は分かりません。逆に、全体の数字が小さくても、自分がよく買う物が大きく値上がりしていれば生活は苦しく感じます。CPIと一人ひとりの家計がぴったり同じでなくても不思議ではありません。

上昇率が下がっても、値段は上がることがある

架空の買い物かごが、一昨年1万円、去年1万1千円、今年1万1550円になったとします。去年の上昇率は10%、今年は5%です。上昇率は半分になりましたが、支払額は550円増えています。

「インフレが落ち着いた」は、値上がりの速さがゆるんだ意味で使われることがあります。「値下がりして元の1万円へ戻った」とは違うのです。まずは、値段の水準と、その変化の割合を別々に考えましょう。

架空の買い物かごは1万円、1万1千円、1万1550円。上昇率が10%から5%へ下がっても支払額は増える。

図1:架空の買い物かご。上昇率は10%から5%へ低下しても、支払額は増えています。

年によって比べる土台も変わります。去年に急に値上がりした月は、今年の前年比の見え方に影響します。一つの前年比だけで、最近の数か月も同じ勢いだと決めないことが大切です。

総合とコアは、二つの見方

総合CPIは全体をまとめた数字です。米国の「」は、動きが大きくなりやすい食品とエネルギーを除きます。これらを除いた部分の値上がりが続いているかを見やすくするための見方です。

食品や電気代が大事ではないという意味ではありません。毎日の負担を見るなら総合も必要です。また、日本で一般に「コアCPI」と呼ぶものは生鮮食品を除いた数字で、米国のコアとは除く物が違います。国の名前を省かないようにしましょう。

米国の総合CPIには食品・エネルギー・その他を含み、コアは食品とエネルギーを除く。箱の面積は実際の支出割合ではない。

図2:米国の総合とコアの範囲を示す概念図。面積は実際の支出割合を表していません。

前月比と前年比を、一つずつ読む

前月比は、直前の月からどれだけ変わったか。前年比は、去年の同じ月からどれだけ変わったかです。月ごとのニュースでは、前月比は毎年の偏りをならす季節調整済み、前年比は調整前という組合せもよく見られます。

架空の指数が去年の同じ月100、先月103、今月103.3なら、前年比は3.3%、前月比は約0.29%です。計算の分母、つまり比べる土台が違います。0.29%と3.3%を直接比べて、どちらが強いと決めることはできません。

少ない月の数字を何倍かして将来1年の結果と呼ぶのも避けます。その月の動きがずっと続くとは限りません。前月比を何回か並べて見ることと、前年比を見ることは、違う距離から眺めるような関係です。

実際のケース:2023年12月の総合とコア

BLSの2024年1月11日の発表では、2023年12月の米国CPIは、総合の前年比が3.4%、食品とエネルギーを除くコアの前年比が3.9%でした。同じ発表の季節調整済み前月比は、総合もコアも0.3%です。

これは当時公表された数字を読む練習です。「総合とコア」「前年と前月」という二つの分け方が、一つの資料の中にあります。3.4%と0.3%が違っても、矛盾ではありません。比較する相手が違うからです。

前の11月の総合前年比は3.1%でしたが、コアは4.0%でした。総合は3.1から3.4へ上がり、コアは4.0から3.9へ下がりました。「物価は上がった・下がった」という一言だけでは、どの数字を指すか分からなくなる実例です。

BLSの解説では、通常の調整前CPIと季節調整済み系列で、更新の扱いも分けています。季節調整済みの過去の数字は更新されることがあるため、過去の記事の値と最新の表が違ったら、日付や注記を確かめます。

高いCPIは、いつも同じ値動きにつながる?

物価の上昇は家計の負担や、中央銀行の判断に関係します。しかし、発表値が高いから必ずドルが上がる、株が下がるとは決まりません。発表前に何が見込まれていたか、ほかにどんな情報が出たかでも受け止め方は変わります。

を比べる場合は、集計元と日時が確認できるものを使いましょう。予想を後から作り、「当てられた」と考えないこと。発表直後はが広がることもあり、数字を読み終える前の注文は負担が大きくなります。

支出の割合が違えば、体感も変わる

同じ家賃の値上がりでも、家賃に多く払う家と、持ち家で暮らす家では感じ方が違います。毎月の交通費が大きい人と、徒歩で通う人でも、燃料の値上がりの重さは変わります。平均の指数は、特定の家の家計簿そのものではありません。

練習では自分の支出を細かく公開する必要はありません。「食費が多い家」「交通費が多い家」という架空の二家族を考えるだけでも十分です。どの品目に重みがあるかで、同じ値上がりの全体への影響が変わることを確かめましょう。

また、指数が120だから、すべての品物が120円という意味ではありません。基準の時期を100として比べやすくした目盛りです。金額、指数、変化率の三つを区別して表を読みます。

まとめ:率と値段、総合とコアを分けよう

CPIは物価の変化をまとめる道具です。値上がり率の低下は、値下がりとは限りません。米国のコアは食品とエネルギーを除きます。前月比・前年比と、季節調整の有無までそろえれば、見出しの印象に振り回されにくくなります。

次は、四つの欄をノートへ写そう

公式発表から、総合とコアの前月比・前年比を探し、対象月と一緒に写しましょう。口座がある人は発表時刻の前後を観察し、値動きを一つの数字だけで説明しない練習をします。

これから口座を選ぶなら、口座の比較で指標の名前や注記が読みやすいかを確かめてください。投資では損失が出ます。FXには預けたお金を超える損失の可能性もあるため、読む練習と実際の注文を急いで結び付けないことが大切です。