**勝つ回数が多くても、1回の損失が大きければ合計で減ることがあります。**取引を振り返るときは、勝率だけでなく、利益と損失の大きさ、費用も一緒に見ます。この記事では、損益の比率と取引ノートを、架空の数字で学びます。
テストで丸が多くても、配点の高い問題を落とすと合計点は伸びません。売買も回数だけでは結果が決まりません。何回当たったかと、1回で何円増減したかを分けると、見落としを減らせます。
利益と損失を、同じものさしで比べる
は、予定する損失と利益の比率です。この記事では「損失1に対し利益いくつ」と書きます。損失1,000円、利益2,000円を見込む計画なら、1対2です。
ただし、利益を2,000円に設定すれば、実際にそこまで上がるわけではありません。目標まで遠くすると、届かず終わる場合も増え得ます。比率を大きく書くだけで有利な取引にはなりません。
まず、口座のお金が10万円あり、毎回同じ数量で10回行う架空例を考えます。各回の費用前の利益は2,000円、損失は1,000円。実際の売買の記録ではなく、回数と合計の関係を見るための算数です。
4回勝って6回負けたら?
4回の利益は合計8,000円、6回の損失は合計6,000円です。差し引きはプラス2,000円。勝率は40%でも、費用前ならプラスになります。
ところが毎回の費用を100円とすると、10回で1,000円。残るのは1,000円です。8回勝っても1回の大きな損失で減ることがある一方、勝ちが半分未満でも増える計算例がある、と分かります。

図1:架空の10回。4回×利益2,000円、6回×損失1,000円、費用10回×100円で合計1,000円。将来の成績予測ではありません。
ここで注意したいのは、費用をどこに入れたかです。勝った回の2,000円と負けた回の1,000円がすでに費用を引いた値なら、さらに100円を引くと二重に数えてしまいます。この例では、最初の数字を費用前とそろえています。
何%勝てばよいかも、費用で変わる
費用前なら、利益2,000円と損失1,000円の組み合わせでは、3回に1回勝つと合計がちょうどゼロになる計算です。1回勝って2回負けると、2,000円から2,000円を引いてゼロになります。
毎回100円の費用があれば、勝った回の手残りは1,900円、負けた回の減りは1,100円です。100回の仮定で考えると、37回勝って63回負ける場合は1,000円のプラス、36回勝って64回負ける場合は2,000円のマイナスです。

図2:架空の100回を同条件で比較。費用後は勝率約36.7%が収支ゼロの境目。勝率を実際に達成できるという意味ではありません。
このように、勝つ割合と1回の損益を組み合わせた平均をと呼びます。過去の記録から求めた値も、未来の約束にはなりません。取引条件や相場の動きが変われば、勝率も平均損益も変わります。
図の境目は、すべての勝ちと負けが同じ額であるという単純化した例です。現実には途中で終えたり、予定以上の損失が出たりします。予定の比率と、実際の平均利益・平均損失は別に残しましょう。
ノートには、注文する前の考えも残す
は、損益だけを書いた自慢帳ではありません。「いつ、何を見て、どこで始め、どこで終えるつもりだったか」を、結果を見る前に残すための道具です。紙や普段の表計算でも始められます。
最初は、日時、銘柄や通貨ペア、時間足、数量、始める理由、予定の終了価格と目標、実際の成立価格、費用、最終損益を記録します。画像を残すなら、未来の値動きがまだ見えていない開始時点の画面も用意します。
「上がりそうだった」だけでは、次に同じ条件を探せません。「日足で昨日の高値を上回り、1時間足が確定した」など、自分が確認した事実を書く方が見直しやすくなります。
当たった例だけを選ばない
大きく勝った日だけ記録し、負けた日を忘れると、平均は実際よりよく見えます。途中でやめた回、注文が成立しなかった回、売買を見送った理由も、混ぜずに欄を分けて残します。
また、10回だけで手法の良し悪しが決まるわけではありません。少ない回数では偶然の偏りが大きくなります。件数と観察した期間を書き、違う時期にも同じ条件で試せるかを考えましょう。
損益と、決まりを守れたかは別に採点する
予定どおりに終えて損失になった回と、終了の決まりを破ったのに偶然利益になった回を分けます。結果がプラスだったという理由だけで、後者をよい判断と決めると、次にも同じ大きな損失を引き受けかねません。
ノートには「事前の条件を守ったか」という欄も作れます。守れなかった場合は、理由を短く残します。怒って数量を増やしたのか、見ていた足を途中で変えたのかなど、次に確認できる行動の言葉にしましょう。感想と数字を分けると、読み返す負担も小さくなります。
実際のケース:CMEが紹介する取引記録
CME Groupの公式教材は、取引を始めた理由、目標価格、開始と終了の位置、時刻などを残し、毎日の振り返りにつなげる方法を紹介しています。
同社のリスク管理の教材は、1回や1日でどれだけの損失を考えるかなどを取引計画に含めています。実在する学習手順の例であり、記録すれば収益が改善する、という保証ではありません。
この記事の2,000円や100円は、その教材の利用者の実績ではありません。自分の条件を確かめるために編集部が置いた架空の数字です。
まとめ:回数・金額・費用を一緒に見る
予定の損益比率が同じでも、勝率と費用が違えば合計は変わります。計画した数字と実際の結果を分け、すべての回を記録することが基本です。よい数字が出ても、次の利益が約束されたわけではありません。
次は、自分の記録用紙を作ろう
口座の取引履歴で、成立した価格と費用をどこで確認できるか探します。まだ売買していなければ、仮の計画を3件だけノートに作り、後日同じ条件で結果を確認しましょう。
新たに選ぶ人は、履歴の出しやすさ、費用の見やすさ、練習機能を口座・ツールの比較で確かめてください。記録は損失を防ぐ保証にはなりません。利益を急ぐより、何を数えた数字かを自分で説明できることを目標にします。