**取引数量は、「いくら買えるか」だけでなく、「外れたとき何円の損失になるか」から考えます。**同じ値動きでも、買う量が倍なら損益も倍です。この記事では、予定する損失額から数量を逆に求め、費用や価格のずれも確かめる順番を紹介します。

重い荷物を運ぶとき、かばんに入る限界まで詰めるとは限りません。自分が安全に持てる重さも考えます。取引も、口座が受け付ける最大数量と、自分が受け止められる損失は別です。

数量を決める三つの数字

を考えるには、まず売買に使うお金、1回で受け止める予定の損失額、買値から終える価格までの差を分けます。ここでは、買ったあとに下がったら取引を終える例を使います。

架空の口座に20万円あり、1回の損失の目安を2,000円に決めたとします。20万円の1%です。これは練習用に選んだ割合で、全員に合う数字ではありません。生活費や近いうちに使うお金を前提にしていません。

ドル円を150円で買い、149円60銭を終了の基準にするなら、差は1ドルあたり40銭。2,000円を0.40円で割ると、費用を除いた計算上の数量は5,000ドルになります。

架空の20万円口座で予定損失2000円と損失値幅0.40円から5000ドルを求める図

図1:架空のドル円。予定損失2,000円を、1ドル当たりの値幅0.40円で割ると5,000ドル。価格が予定どおり成立する仮定で、費用は別です。

この5,000ドルは、必ず安全に取引できる量という意味ではありません。必要な預け金、注文できる最小単位、ほかに持っている取引も別に確かめます。数量の計算だけでは取引条件を全部確認したことになりません。

終えるまでの幅が広いなら、数量は減る

もし終了の基準を149円20銭にするなら、差は80銭です。同じ2,000円の予定損失なら、費用前の数量は2,500ドル。値幅を2倍にした分、数量は半分になります。

反対に、数量を5,000ドルのままにすると、0.80円×5,000ドルで4,000円の予定損失です。「もう少し待てば戻るかも」と終了価格を遠くへ動かすことは、引き受ける損失を増やす行動になります。

費用とずれを入れると、結果も変わる

現実の取引には、買値と売値の差である、手数料、持ち越しの費用などがあります。また、指定した基準と実際に成立する価格がずれるも起こります。

図2は、実際の成立買値・売値を想定した1ドル当たり40銭の値幅へ、まだ計上していない追加手数料や不利なずれを合計5銭相当と仮定した計算です。値幅に含むスプレッドは追加しません。1ドル当たり45銭で考えると、4,000ドルなら1,800円、5,000ドルなら2,250円です。4,000ドルへ減らすと予定2,000円の内側になります。

費用とずれを0.05円仮定し4000ドル1800円、5000ドル2250円と比較する図

図2:値幅0.40円へ未計上の追加費用・不利なずれ0.05円を加えた学習例。スプレッドの二重計上はしません。4,000ドルで1,800円、5,000ドルで2,250円。実際の費用やずれは一定ではありません。

5銭は実際の会社の料金でも、ずれの最大値でもありません。急変時には想定より悪い価格で成立したり、取引を終えにくくなったりすることがあります。計算した額に損失を必ず閉じ込められるわけではない点を覚えてください。

また、すでに買値と売値の差を含めた価格で損益を計算した場合、同じスプレッドをもう一度引かないようにします。どの費用を数字へ含めたかを、欄を分けて書くと確認しやすくなります。

ロットや証拠金とは、別の数字

「1ロット」は取引のまとまりを表す呼び方ですが、何通貨に当たるかは会社や商品で違います。数字の見た目だけで比較せず、「合計で何ドルか」まで直しましょう。

は、取引のために預けるお金です。それが少なくて済んでも、最大損失がその額になるわけではありません。業者のと、自分で考える終了の基準も別の仕組みです。

株式でも考え方は同じです。1株の値下がりの幅に株数を掛け、費用を加えます。ただし、注文できる株数の単位に合わない場合は、無理に切り上げず、数量を減らすか取引を見送る選択もあります。

複数の取引を持つときは、合計も見る

1回の予定損失が2,000円でも、同時に三つ持てば合計は6,000円です。別々の通貨ペアでも、同じニュースで一緒に不利な方向へ動くことがあります。「一つずつは小さい」だけで安心せず、同時に抱える損失の目安を足します。

また、注文の最小単位が1,000ドルなら、計算上の4,444ドルをそのまま注文できないことがあります。5,000ドルへ切り上げると決めた損失の目安を超えるため、4,000ドルで再計算します。取引しないという選択も残してください。

売買を終えた後は、予定額と実際額の差を記録します。ずれが大きかったときは、その理由が数量の入力間違いか、価格の急変か、費用の見落としかを分けて見直せます。

実際のケース:2%は、選ぶための一例

CME Groupの公式教材は、1回の予定損失を口座資金の2%以内とする考え方を紹介しています。同時に、この2%は任意に選ぶ値だとも説明しています。法律で決まった安全基準ではありません。

CIBC Investor’s Edgeの教材でも、持つ金額と終了までの幅を組み合わせて、資金全体に対する損失を比べています。どちらも数量管理を学ぶ実在の教材で、同じ割合なら破産しないという保証ではありません。

資金が減ったあとに同じ割合で考えるなら、円額も減ります。負けを取り戻そうと数量を増やす前に、今の残高と同時に持つ取引の合計を見直しましょう。

まとめ:数量より先に、外れた場合を決める

予定する損失額を決め、終えるまでの幅で割り、費用やずれを確かめます。**買える最大量と、自分に合う数量は同じではありません。**終了価格や数量を変えたら、損失の円額も計算し直すことが基本です。

次は、注文せずに三つの数字を書こう

自分の口座で最小数量と1ロットの単位を確認し、仮の買値・終了価格・数量を紙に書いてください。終了までの幅を2倍にしたら、同じ損失の目安で数量はいくらになるかも計算します。

口座を持っていない人は、最小数量、費用、終了注文の条件を口座の比較で確かめましょう。FXでは預けた額を超える損失もあり、どの割合の決まりも安全を保証しません。まずは仮の数字で、取引量と損失の関係をつかむ練習です。